医療総研の実施事業

25年間の(有)医療ソフト総合研究所で実施した内容

私のコンサルタントの鉄則

私は、コンサルタントの仕事を始める前に決意したことがあります。それは、コンサルタントした病院を去る時のことでした。職員が「最近、コンサルタントの太田先生を見かけないけど」と聞いた時、「太田先生ならもう半年前に辞められているよ」という会話です。

こんな会話が、職員同士でされているということは、「私を頼りにしないで半年間、自分の足で歩いていた」ということなのです。要するに「自立」したということです。私は、コンサルタントという仕事は、「子供に自転車の乗り方を教える親と同じ」だと思っています。

最初はしっかり支えて、必死で走りますが、徐々に力を弱めて、自分でバランスの取り方のコツをつかませます。倒れそうになったらしっかり支えて、不安を無くしてあげます。そして、子供は誰に乗り方を教わったかも忘れ、自分一人で乗れるようになったと思って、楽しそうに自転車を乗っているのです。

そして、その子供が大人になって、自分の子供に自転車の乗り方を教える時の大変さを経験した時に、親の辛さを知ることになるのです。それが世の常なのです。コンサルタントとは「因果な仕事」なのです。そんな仕事を25年間やり通せたのは、「どんなにつらくても、自分が決めた道」と考えていたことと、日赤で苦労した仲間たちの「辛さ」に対する、私なりの「償い」の気持ちがあったからです。

この後、上記のような風変わりなコンサルタントの25年間の主だった歩みを書きます。

院外処方せんの全面発行と保険薬局のレセプトシステム開発

当時は、医薬分業が騒がれ始めていた頃で、まだ「院外が得か、院内が得か」を模索している時代のでした。私がコンサルタントしていた病院は、急性期病院でしたが「全面発行」を方針に掲げたのでした。そのために、地域の薬剤師会の院外処方せんの受け皿の整備と、院内での全面発行の準備の両方を手掛けることになったのでした。

受け皿の地域の薬剤師会においては、事業協同組合を立ち上げ、門前薬局と地域の薬局の調剤レセプトシステムを開発して稼働させました。このシステムには、保険請求の機能と、医薬品情報の機能と在庫管理の機能を盛り込みました。調剤の分包機や薬袋作成機との完全連携機能も稼働させることが出来ました。

医師も含めた人事考課制度の設計と稼働

人事考課制度を、基本要件書の作成、目標管理体制、昇給・昇格制度を独自で設計し稼働しました。当時、医師の人事考課制度まで取り組んでいる医療機関はほとんどなく、クライアントの病院長の思いである「人材育成」を具現化する仕組みの構築から、目標面接の同席、評価など、賃金カープの作成以外の全ての仕組みを構築して稼働させました。医師の目標設定にはかなり苦労しました。

この人事考課制度は、「当院の職員であれば、職種に関係なく必要な要件」を基本要件とし、豊かな人間性、確かな自己管理、強い責任感の3本の基本骨格で設計しました。この3本の全て習得できた時は、「人望のある人間」となる仕組みとなっています。

職務要件書と院内の各部署の業務設計

人材育成型の人事考課制度を医療、介護の職場で完成させるためには、「職務要件書」が必要となります。これを職場の業務と関連付けて構築しないと、現場の業務と要件がつながらないと、人事考課が現場スタッフの育成にならないのです。そこで、職場別に業務を見える化して、職務要件書の基本骨格を創り上げました。

臨床検査部、放射線部、薬剤部、栄養部門、医事課、総務課、物品管理部門、オペ室、内視鏡検査室、リハビリ部門、健診部門など、ほとんどの病院の部門の設計をしました。その当時に退院支援が注目され始めていましたので、退院支援業務も設計しましたし、地域連携室も立ち上げました。

医療機能評価の受審支援

医療機能評価に関しては、日赤でいる頃(今から25年前)に、「病院機能評価」という名称で出始めたころから、私なりに興味があり勉強していました。バージョン3からバージョン6までの全てで、多くの病院を支援しました。院内を計画的に改善していくのに、この医療機能評価への取組みは、かなり有効な手段となります。

但し、この機能評価の弱点は、財務面からの取組みが少し弱いです。財務的に安定経営を実現するためには、収入と支出の予定と実績を的確に検証する仕組みが不可欠なのです。これは、私が今までのコンサルタント事業の中でやり残した一つでもあります。

*時間が出来た時に、随時加筆していきます。